織田信長の時代の話×ミステリー
織田信長の重臣だった荒木村重。彼は織田信長に叛旗を翻し城にたてこもりました。村重はその城に死ぬ覚悟で来た天才軍師,黒田官兵衛を捕らえて閉じ込めてしまいました。その後,城で起こる不可解な事件の数々・・・。官兵衛に事件を語って聞かせるために村重は地下の土牢へ降りていきます・・・。
大学受験用の日本史の授業では習わないような知名度の荒木村重。私は本作で初めて存在を知りました。村重もとても頭が切れる人物として書かれています。二人の天才知略家のバチバチと火花散らす頭脳戦が見どころです。
米澤先生の本は現代ものしか読んだことがなかったので,全く前知識なく「黒牢城」を読み始めて即座に「えっ!?時代物!?」と驚きました。インターネットで調べてみると「本作は初めての歴史小説」とのこと。それでいろいろな賞を取られているとはすごい・・・。
私は時代劇,時代小説の大ファンで,特に「鬼平犯科帳」に心酔しております。しかし,ここ数年時代小説を読んでいませんでした。久しぶりに硬い&難い日本語の響きに慣れる時間を要しましたが,続きが気になる!気になる!と興奮し,あっという間に読み終わってしまいました。
こんな生活は絶対ムリ
いつ敵が攻めてくるか分からない。
味方の中にも敵が潜んでいて,その裏切り者は誰なのか暴き出さないといけない。
大事な息子を他の城に人質に取られている。
食べ物や金の心配が尽きない。
いつも死と隣り合わせ。死ぬことより名が落ちることが恥。
人を裏切ってのし上がってきたから自分もいつか寝首をかかれるかも・・・。
そういうことばかりで「気が休まることがないだろうなぁ」とつくづく悲しくなりました。そして,布団に寝っ転がってのびのびと「黒牢城」を読めている今の生活に心底感謝したのでした。
『氷菓』アニメが見たくなった
米澤穂信作品と初めて出会ったのはアニメ「氷菓」でした。ミステリー中毒の私は,この学園ミステリもののアニメに,大大大好きな声優さんが出ていると分かって一気見した過去があります。もういつ見たのか覚えてないなぁと思い,調べてみるとなんと放送が2012年!10年以上前!(驚)今見ても実に美しいアニメです。さすが京都アニメーション。
どろどろ裏切り多め,生首多めの「黒牢城」とは正反対といってもよい,高校生たちの爽やかなミステリーアニメを今,また見ています。かわいくてにまにまします。
お茶の世界は深い
「黒牢城」の中では茶道が重要な役割を担っています。もちろん茶道の知識がなくても問題なく読めます。私は習い始めてまだ2年ほどの新米ですがお茶を習っているので本を読んでいてイメージが沸きやすく,「少しでもお茶を習っていてよかったなぁ」と嬉しくなりました。荒木村重の茶室に入ってみたいです。そして家宝の茶器もぜひ拝見したいものです(詳しい方の解説付きで)。
そういうわけで,「黒牢城」の興奮冷めやらぬうちは,しばらくお茶のお稽古のたびに荒木村重のことを思い出しそうです。最後までお読みいただき,ありがとうございました=^_^=