遊びながら学ぶ Learning Through Play
私が見学中のニュージーランドの小学校の時間割にLTPと書いてありました。Learning Through Playの略で,子どもが自分たちで自由に遊ぶ時間です。私が今まで働いてきた日本の小学校の子どもが知ったらとても羨ましがりそうな時間です。この一年で行ったイギリスとフィンランドの学校にもありませんでした。LTPの時間はお絵描きしたり,タブレットを使ったり,おもちゃで遊んだり,読書や工作をしたりと自由です。運動場で遊ぶ子どももいます。「折り紙を教えて」と言われて折り紙を一緒にしたこともあります。
日本で働いていたときに「今日はここまで終わらせないといけない」「6月中にこの単元を終わらないといけない」と時間に追われて授業することが何度もあったので,ニュージーランドの学校で,日によっては1時間半以上遊ぶ時間があるので驚きました。
おやつを食べながら読み聞かせを聞く Feed & Read
私が見学中のニュージーランドの小学校は9時から始まります。先生から1日の流れの説明など学級・学年全体への伝達があります。それから授業があって,10:45にあるのが”Feed & Read”。これも私が今まで働いてきた日本の小学校の子どもが知ったらとても羨ましがりそうな時間で,持ってきたおやつや軽食を食べながら先生の読み聞かせを聞く時間です。
元々10時頃には空腹になる私もこの”Feed & Read”の時間を毎日待ち遠しく思っています。スタッフルームに用意されたお菓子,紅茶,コーヒーをありがたくいただいています。日本の小学校で食事する時間は給食時間しかないので大きな違いだなと思います。日本では基本的に学校でお菓子を食べることもないですね。”Feed & Read”はありがたいものの,食べたらいけないと思いつつ,ついお菓子を食べ過ぎてしまうので私には向いていない,と思いながら食べています。
余談ですが”Feed”と”Read”で韻を踏んでいるのがさすがだと思います。
“Feed & Read”が15分間あり,そのあと20分間遊ぶ時間(11:00~11:20)があります。これも日本の小学校の子どもが知ったらどんなに・・・と思いつつ,毎日とても余裕があるなぁと感じる時間割です。
昼休みも長い Lunch time
12:30~1:30がランチタイムで,子どもは外で弁当を食べます。監視役の先生は30分交代で運動場を見回ります。その日に監視役になっていない先生は丸々1時間ランチタイムをスタッフルームで過ごすことができます。みなさんランチを食べながらおしゃべりに花を咲かせたり,スマホを見たりしています。
昼休みがちゃんと”休み”なんだなぁと思いました
自分の机とイスがない
遊びをたくさん取り入れているこの学校の小学5~6年生のクラスでは机とイスが全員分はありません(3~4年生はありました)。一つの教室に居ても机とイスを使いたい人は使う,床で書く,床に座って低い机で書く,ソファとテーブルで書く,とそれぞれ違います。日本ではもちろん,イギリスでもフィンランドでも見たことがない教室風景でびっくり。
以前「日本の学校と違う!」と思ったことクイズ*イギリス③という記事の中で,「イギリスの学校で高さを調整できない机とイスを見て驚いた」ということを書きました。ニュージーランドでも高さを調整できない机とイスを使っていて,しかも机やイスを使わずに読み書きする様子を何度も見たので,「日本と違う!」とさらに驚きました。
NZの一部の学校が「遊びながら学ぶ Learning Through Play」を取り入れている
ニュージーランドはどの学校もLTPを取り入れているんですか?
いいえ,伝統的なスタイルの学校,低学年にだけLTPを取り入れている学校,本校のように学校全体でLTPを取り入れている学校があります。
「複数のスタイルの学校から選ぶことができるのはニュージーランドのよいところ」だという話でした。遊ぶことが大切だということはずっと言われていることですが,遊ぶ時間が長過ぎる,昔ながらの教育の方がよいという意見もあって転校する家庭もあり,賛否両論あるようです。私がお世話になっている学校は2017年からLTPを5歳児のクラスに取り入れ,高学年(9-11歳)は取り入れて2年目だそうです。今のところ読み書き計算の能力はLTP導入前と比べて下がっておらず,同じくらいだという話でした。学校で遊ぶ時間があまりに増えると学業成績が下がりそう,と思っていたので面白い結果だなと思いました。
個人的には遊ぶ時間より(自分の)昼寝の時間がほしいかもしれない
日本での“普通”が普通ではないのは毎回面白いです。最後までお読みいただき,ありがとうございました=^_^=