海外あちこちでストライキ

「日本と違う!」

外国に比べて日本はストライキが少ないためか,私が田舎に住んでいるためか,私はストライキを直に見たことがありません。だから,2023年4月,イギリスに着いて初日にストライキを見たときに衝撃を受けました。

飛行機が無事にロンドンに着き,いかにも観光客丸出し状態でロンドンのシンボルの1つ「赤い二階建てバス(ダブルデッカー)」の2階席に座りました。

バスが走り出して窓から写真を撮っていたら,道路わきにプラカードを持って叫んでいる人々が病院関係者のストライキでした。イギリスのストライキをニュースで見たことがあったので「本物のストライキだ!しかもダブルデッカーから!」と,「本当にイギリスに居るんだなぁ」と感じました。

その後,さらに驚いたのは学校の先生達のストライキでした。朝,小学校に行くと,先生達が正門付近の道路で車道に向かって何か叫んでいます。何も知らない私は「???」でした。質問してみると,給料を増やしてほしい,休みを増やしてほしいという要望のためのストライキでした。

日本では公立学校の先生はストライキをすることができませんので,とてもびっくりしました。しかも担任の先生がストライキに参加した日は,その学級の児童生徒は学校に来ません。例えば,A先生がストライキで学校に居なくても,A先生の学級の子どもも学校に来ないので,他の先生がその学級の面倒を見る必要はないということです。私のホストマザーの孫は中学生で,担任がストライキした日は祖父母宅のパソコンで担任から与えられた課題をしていました。もし祖父母のような面倒を見てくれる人がいない場合,親が仕事を休むことがあるそうです。それを聞いてさらに驚愕しました。

子どもがいるママ3人に「イギリスは教員のストライキがあって驚いた。これってどう思われているの?」と訊いたところ,「仕方ない。先生達も大変だから。」というような返答でした。3人にしか訊いていないので全員ではないとは思うのですが誰も教員のストライキについてネガティブなことを言わないことが私には意外でした。

教員のストライキについてネガティブなことを少し聞いたのは同僚の教員からでした。「教員がストライキすることで児童生徒がその日は学校で学習できない,友達に会えない。ストライキに参加することで仕事を放棄していると少し思う,もちろんストライキする理由も分かるんだけど。」というような内容でした。

私がお世話になっていた小学校の先生に教えてもらったのは次のような話でした。

  • この学校には〇〇〇組合に入っている人,×××組合に入っている人,何も入っていない人がいる。
  • 例えば〇〇〇組合は今週の月曜,×××組合は水曜にストライキに参加したかったら参加する,という感じ。ストライキに参加しない人もいる。だから一気にたくさんの先生が居なくならないようになっている。

このようにストライキの日が決まっているため,週1のミーティングで一週間の予定を確認するときに校長先生が「来週の水曜はストライキがあります」という日程確認をするのにもびっくりしました。これはストライキを促しているわけでも批判しているわけでもなく,ただの日程確認,ただの先生達が勤務するかどうかの予定確認なのですが,それでも「日本ではありえない」と思う私はこの状況に心底びっくりしました。

私がイギリスで経験したのは他にも鉄道会社スタッフのストライキで,電車が使えなくなるのでその日はバスセンターが大混雑しました。事前にお知らせがあり,バスのチケットを買えていたので本当にほっとしました。

その後,フィンランドに行ったあとは「去年,学校給食を作るスタッフが給料アップを求めてストライキを起こした」という話をホストファミリーの小学生から聞きました。また,Finnairというフィンランドの主要な航空会社が大規模なストライキをすると発表し,それがちょうど私が飛行機に乗る予定の日だったので,飛行機をキャンセルし,別の日に移動させたということがありました。Finnair職員が居ないということは空港が人手不足でナイトメア(悪夢)になるだろうとホストファミリーや同僚に言われたからです。

ニュージーランドの小学校に行ったときに,「イギリスで学校の先生がストライキをして驚いた」という話をしたら,ニュージーランドの学校の先生達も去年ストライキを起こして給料が少し上がったそうです。

ぇ,いいなぁ

日本では1970年代をピークに減っていったストライキ。日本でも医療・介護従事者の方や百貨店の方,私立学校職員の方などのストライキのニュースがありました。日本でも今後増えるという予想がありますので,日本でも海外のようにストライキが身近になるのかもしれません。

私は37年日本に住んでいてストライキを身近に感じることがありませんでした。ストライキについて話すのはニュースで見たときくらいで,普段はほとんど話題になりませんでした。1年間の海外生活の間にストライキが急に身近になりました。こんなに自分がストライキという単語を発したのは人生初でした。ストライキや労働者の権利についてこんなに調べたり人と話したりしたのも初めてでした。自分も労働者だし,他人事ではないなと気付かされました。最後までお読みいただき,ありがとうございました=^_^=

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